hiro-chinn の日記

医者として、日々の生活の中で思ったこと経験したことを、書かせていただきます。

医者の生活 その2

f:id:hiro_chinn:20210305214236p:plain

 

 

医学部は6年間ですから、現役で留年せずに卒業しても24歳。そして国家試験に合格しても、まだこの時点では、実質的に医者ではありません。

そこから過酷な研修医生活に耐えて膨大な量の知識を吸収し、貴重な経験をたくさん積み、何とか一通りこなせるようになるのが30歳。(浪人、留年していればもっと後です。)

一般社会ではすでに係長、課長級で給料も研修医よりはずっと高給をもらっています。

 

医者の世界では、「10年選手」という言葉があり、研修が終わっても一人前の医者ではまだありません。

研修後、大学病院などでさらに研鑽を積み市中病院での経験を経て、やっと「10年選手」になり、今度は大きな市中病院への出張である「医長派遣」を命じられ、所属科の長として責任者になるとともに、病院長や事務長などの指示を受ける中間管理職になります。

誰でもほかの医師やスタッフのミスの責任は取りたくありませんが、「クソ度胸」を付けるいい機会になりますし、さらに上を目指すために研究もどんどんしなくてはいけません。

ここで実績を積めばその後大学に呼び戻され出世コースに乗ります。(私は、落ちこぼれました。)

今有名な教授連中の中には、こういうコースで出世した人も多くいます。

さらに言えば、海外特にアメリカ留学が必須になります。

大体が最低2年間。最初の1年間が語学の勉強。残り一年で研究をして”お土産”をもらって帰ってきます。

話を下々のお医者さんに戻しますが、研修医後に多くの医師は、学位や専門医の取得を目指し、実臨床とは別に研究や学会活動などの仕事がたくさん加わってきます。

 

つまり卒後から一貫して「10年選手」になっても楽にはならないし、むしろ仕事量はどんどん増えていきます。

もちろん医師として、仕事上患者さんの生死に携わることが多い為、患者さんやそのご家族とのトラブルの機会もさらに増えます。

主治医制度であれば、帰宅後も患者さんの用件で呼び出しもありますし、自宅でオンコール待機をすることもあります。

結局24時間気が抜けない生活がずっと続きます。

(これは卒後一貫して同様です。)

患者さんの病状が気になって、夜ほとんど眠れなかったということも珍しいことではありません。

 

しかし私自身もっとストレスのない生活をしたいと思ったことはありません。(いや一度あったかな?)

それでは何故医者の仕事を続けたのかと質問されても、私には即答できません。

ただ、やりたいからやっている。

やりがいがあるから、苦労が多くても続けられている。

と答えるしかありませんね。

 

今、日々の仕事以外にブログを書く時間があるということは、私自身にとって非常に素晴らしいことですし、できるだけ読んでくださる方に有益な内容の記事をたくさん書いていきたいと思っています。

 

 最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。

 

f:id:hiro_chinn:20210305214741p:plain