hiro-chinn の日記

医者として、日々の生活の中で思ったこと経験したことを、書かせていただきます。

医療はサービス業です

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以前記事で書いたことがあると思いますが、医療とは良質な医学的管理を提供するサービス業です。

最近こんなことがありました。

40代の女性でしりもち転倒して徐々に腰痛に発展し、近医(診療所)を受診しレントゲン検査を施行も、問題なしといわれ鎮痛薬を処方されましたが、全く疼痛緩和せず、今度は、大きい県立病院を受診。再度レントゲン撮影と C T 検査施行。やはり骨折などなく問題なしとのことで弱オピオイドを処方されました。

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しかしこの後も全く痛みは緩和せず、

「ちょっとした体動でも”電気が走るような”痛みが出るようになった。」

とのことにて当院受診。

もうレントゲン撮影はせず、直接 M R I 施行としました。

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骨挫傷や軽度の不全骨折なら C T でも診断はできません。

ましてやレントゲン撮影では、診断不能です。

M R I の結果は、骨挫傷も筋挫傷(M R I で検出可能な)も認めませんでした。つまり骨折は、完全に否定できました。

外傷後当初はほとんど症状がなく、後になって徐々に強くなってくる痛みの原因で一定の割合を占めるのは、神経損傷です。

この中には、 C R P S といって放っておくと、手や足の重度の機能障害を引き起こす怖い病態もあります。

ほかの記事で書いた鎮痛薬の中のプレガバリンとビタミンB12を処方後、徐々に良くなっていかれ、患者さんから非常に感謝されたということが最近ありました。

 

ここで大切なことは、前医を患者さんが非難したとしても決して同調してはいけません。

そうすると医療トラブルのもとになりますし、自分も失敗してその先生方に助けてもらっている可能性もあるからです。

 

外傷の診断には M R I が重要であると、これも以前の記事で書いたことがありますが、他医でレントゲンを撮り、骨折はないといわれた患者さんが、どうも痛みが続くのでと来院し、 M R I で骨折が判明したことも珍しくはありません。

子供の場合、レントゲンで異常がなくても、念のため固定をして後日の所見で骨折の有無を判断したり、 X P 上問題ない旨を告げた後、症状が続くようなら C T や M R I で精査する必要があることを患者さんやご家族に前もって話しておけば、トラブルになることはありません。

まあ患者さんやご家族からしたら初診時にすべてわかれば一番いいわけですけれどもね。

 

患者さんにお話する内容で余計なトラブルを避けれたり、不要な苦痛を与えなくて済むわけですから、是非労を惜しまずお話すべきであると思います。医療はサービス業なんですから。

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